リトミックで人間性を高める!?「良い子」ってどんな子?

リトミック研究センターでは「りとみっくのひろば」という広報誌があります。

今回はこの「りとみっくのひろば7・8月号」に書かれいる内容の考察です。

子供を褒めたり叱ったりする時、親や先生などの大人たちはどのような基準で子供と接していますか?

良かれと思った躾が子供たちに誤った考え方に導いてしまっていることもあります。

子供たちの人柄を育てるリトミックの役割もご紹介していきますね。


リトミック創設者の愛読書から考えるいじめ問題

リトミックの考案者であるダルクローズが自身の著書によく引用していた愛読本があります。

フランスの哲学者である、モンテーニュの「エセー」という本です。

その「エセー」には『善良な人』よりも『高い知識や技術のある人』の方が、周囲から尊敬されやすいと記述されています。

誠実さと思いやりのある『善良な人』は外からではわかりづらいため、評価のしやすい『高い知識や技術のある人』大衆の目がいってしまうのでしょう。

 

学校などでのいじめ問題をニュースに取り上げられることが多いように感じますが、子供たちや学校の先生は『善良さ』というものを理解しているのでしょうか。

成績や能力の高さで評価されがちな学校が、『善良さ』が身についていない状態でいじめ対策を考えても根本的な解決につながらないように感じます。

 

子供を褒めたり叱ったりするときに、子育てに関わっている大人の思いは子供につたわってしまいます。

まずは子供たちの周りにいる、親や学校の先生が『善良さ』について考えないといけないのかもしれません。

 

リトミックで育む人柄の良さとは

「クラスで成績が一番だった」「みんなより楽器が上手に演奏できる」という子供が『良い子』と評価されやすく、学校や教室の中でも話題になります。

しかし、人柄の良さが評価されるときは否定的な言葉が入ってしまう場合があります。

例えば「勉強はできないけど人柄は良いよね」や「授業態度は良くないけど悪い子ではないよね」など否定したことをフォローする形で使うことがありますよね。

成績の良さや高い能力が注目されやすく、人柄の良さはフォロー程度でしかない状態が長く続くと『善良さ』はあまり重要ではないと、子供たちが認識してしまってもおかしくはありません。

 

リトミックで得られる『社会性』とは

リトミックで身に付くことの一つに『社会性』があります。

二人組でお互いの手を叩きあうときに力加減を考えたり、仲間との活動を通して人と関わることで思いやりを持つことを学びます。

ただ誰かに従うような『社会性』ではなく、みんなのために自分は何をすればいいのかを個々が考えて行動できることが必要です。

リトミックを習うことで様々な効果が楽しみながら得られるのは素敵なことですね。

 


リトミックで出来なくても受け入れられる経験を積もう

人と接する時は、その人がどれくらい『善良』であり『誠実』であるかよりも、知識や技術、経済力、有名であるかどうかで判断します。

その人の人間性を重視することなく、表面からわかりやすいものだけを見て『良い人』だと思い込むのでしょう。

最近のSNSでよく見るデマの拡散も、文章だけを読んで、その人がどういう人なのかを確認することなく気軽に拡散することで起こってしまいます。

 

リトミックに失敗はない!

リトミックのレッスンでは、指導員による音に合わせた動きなどの指示はありますが、たとえ出来なかったとしても叱られることはありません。

リトミック指導員の指示は「ああしなさい、こうしなさい」という命令ではなく、音の変化に合わせて動くためにはどうするかを子供たちに考えてもらうためのヒントです。

 

例えば「リスさんが木の実を取るためにジャンプするよ」という指示があった場合、真上に跳んでもいいし、前や横に跳んでもいいのです。

高く跳べた子が褒められるということもありません。

どんなジャンプでも、思ったように出来なくても、みんな正解です。

 

『良い』か『悪い』の白黒つけるわけでもなく、周りを見ると自分と違う跳び方をしている子供たちを見てたくさんの表現方法があることを知ります。

このようにリトミックを習うことで、自分と違う他人を受け入れ、他人と違う自分も受け入れられたという経験を積むことができます。

今の子供たちには『みんな一緒』ではなく『みんな違っていい』という多様性が認められるようになってほしいですね。

 

リトミックで人間性を高めよう!

リトミック考案者のダルクローズが愛読していたフランスの哲学者モンテーニュの「エセー」には『善良な人』よりも『高い知識や技術のある人』の方が、尊敬されやすいと書かれています。

学校のいじめ問題が解決しないのも『善良』であることを重要視していないからかもしれません。

「成績が良い」などの評価しやすいものは注目されますが、人柄の良さが褒められる時は否定的な言葉のフォローに使われることが多いように感じます。

リトミックを習うことで社会性を身につけ、多様性を認められるようになり、子供たちの人間性を高めることができます。

そして、親や先生、子供の周りにいる大人たちは『善良』とはどういうことかを考える必要がありますね。

 


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